〜STORY〜
〇「よき月よのう」
採水地「上州三峰山」のある「月夜野」という美しい地名。
その名の由来は、平安時代の学者・歌人である源順(みなもとのしたごう)が、
この地を訪れた際に感銘して詠んだ言葉があると伝えられています。
「よき月よのう。」
静かな夜、澄んだ空に輝く月。
源順が見たのは、三峰山に昇る、幻想的な月明かりの風景でした。
これが「月夜野」という地名の由来となったとされ、
この地は今もなお、美しい夜空と豊かな自然に恵まれています。
現在の月夜野は、ユネスコエコパークにも認定された水源の町。
清らかな湧水が流れ、四季折々の自然が織りなす風景は、
まるで源順が見たあの夜の月明かりが今も続いているかのようです。
その清らかな水から生まれたのが『月夜ノ雫』。
月の光のように澄み渡る一滴は、
この土地の歴史と自然の恵みを映し出す、
まさに「よき月の水」です。
〇「上州三峰山」と「小松姫」
時は戦国、激動の時代。
本田忠勝の娘として、徳川家康の養女として、また真田信之の妻として、
激しい時代の波に翻弄されながらも、その気高く美しい姿と、
内に秘めた強い意志で人々を魅了した、小松姫。
彼女は将軍の妻としてだけでなく、
領民を慈しむ心優しい領主としても、その名を歴史に刻みました。
小松姫が治めていた土地の一つが、
上州(現在の群馬県)にそびえ立つ三峰山でした。
美しい山々は、豊かな自然と清らかな水に恵まれ、人々の暮らしを支えていました。
関ヶ原の戦いを経て、夫・信之と信之の父・昌幸が敵味方に分かれるという
苦境に立たされた小松姫でしたが、彼女の領民への愛情は揺るぎませんでした。
ある時、小松姫は三峰山を去ることになります。
その際 、彼女は長年暮らしたこの地への深い愛着と、
領民への感謝の思いから、
三峰山の土地を地域の住民に分け与えました。
「この山は、皆と共に生きてきた大切な場所。これからも大切に守って欲しい。」
小松姫の想いは、人々の心に深く刻まれました。
その後、幾多の年月が流れました。
小松姫から土地を受け継いだ子孫たちは、代々その教えを守り、
三峰山の自然を大切に守り続けました。
三峰山を含むみなかみ町は、
日本で10ヶ所しか認められていない「ユネスコエコパーク」に登録され、
過去から未来に渡り自然が保証される場所になりました。
そして、今から約1320万年前から始まる壮大な地球の営みの中で、
三峰山の地中には奇跡が育まれていました。
1100万年前の大火砕流が作り出した、難透水性の三峰山層。
その上に700年前の火砕流が堆積し、利根溶結凝灰岩を形成。
この地層は多くの節理(ひび割れ)を持ち、水を豊富に蓄える帯水層になりました。
この二つの地層が重なり合うことで、
三峰山には清らかで豊富な天然水が蓄えられるようになったのです。
さらに時が経ち、2000年。望郷ラインの開通工事中、
標高650m地点でトンネルを採掘していた作業員たちは、
地中から湧き出る清らかな水を発見します。
それは、小松姫が愛し、人々に分け与えた三峰山の大地が育んだ、
奇跡の天然水でした。
この水は、pH9.2という貴重なアルカリ性を示し、
かつ、シリカも75.8mg/Lと多く含有。
さらに硬度15.3mg/Lの超軟水という、世界でも稀に見る超高品質な水です。
マグマ(溶結凝灰岩)が天然のフィルタとなり、
長い年月をかけて磨き上げられた水は、
まさに大自然からの贈り物と言えるでしょう。
小松姫が人々に託した想い、そして悠久の時を経て生まれた奇跡の天然水。
この二つの物語が重なり合うことで、『月夜ノ雫』は単なる水ではなく、
人と自然、そして歴史が織りなす、特別な存在となったのです。